剣道で強くなるための「攻め」と「タメ」
こんにちは!剣道愛好家のごまちゃんです。今回は、「強くなるためにやること」シリーズ第⑤弾です!
このシリーズは、強くなるための「技術・稽古方法」などに特化したものですね。
「メンタル」や「素質」などはまた別のシリーズがありますものね。具体的な技術についてはここで紹介するんですよね。
▼始めてここを訪れる方はこちらへ。これさえ読めば『てっぺんを目指す剣道』がわかります。
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Contents
「攻め」とセットになっている「タメ」とは
本日は剣道での「タメ」(溜め)についてお話します。
高段者の方々が剣道雑誌などで、「攻め」と一緒に「タメ」によく言及されていますが、これを意識して試合をしている小学生はなかなかいません。
ものすごく極論で、ともかくわかりやすい言葉に置き換えると
攻め=相手を自分の思い通りに動かす準備
溜め=相手に一瞬の時間を与えてあげて息を合わせること。合気になるための準備
です。通常、「攻め」によって相手を自分の思い通りに動かし、相手がこちらの思い通りに動いてくれるよう敢えて一瞬待ってあげて、息を合わせることを、「タメ」と言います。
わかりやすい動画を探してみました。
この試合は、数ある四年生の試合の中のひとつです。参考までにアップしました。
※個人特定は不可能とは思いますが、未成年者の試合なので拡散はご遠慮ください。
手前のこどもの動きに注目してください。
試合全体の動きを通して、手前の子は、構えを崩さないままお相手を圧迫し、お相手が耐えきれなくなるまでじっくり待っています。
攻めが効いてきて、打つまで一瞬、時が止まったような時間があるのがおわかりでしょうか?
視覚的にあの一瞬が、「タメ」と言われるものです。
▼こちら記事では、打突の質を上げるために必要な「踏み込み」を詳しく解説しています。
剣道の試合の「攻め」と「タメ」の関係
先に紹介した動画を見ても、二人が「合気」になって、ほぼ同時にメンを打ちに行っているのがわかります。
これが、「タメが効いている打突」です。
例えば、この打突が「タメ」が無かったとしたらこのようにきれいに一本が入ったでしょうか?
お相手が同時に踏み込んでいなければ、手前の子のメンは届いていないか、面金を叩いていただけで、一本にはなっていなかったでしょう。
そうすると、手前の子は、お相手が一歩前に出てくることを知っていて、そこに向かって竹刀を振り下ろしているということになります。
お相手が一歩踏み出してくることがわかっていて、そこに向かって竹刀を振り下ろす、一瞬先を読んでいるような感じです。
一瞬先を読む、というとなんだか凄いことのような気がしますが、そうでもありません。
なぜなら、手前の子は、
・お相手に前に出てくることを知っていた
からです。
ではなぜ、手前の子は、お相手が前に出てくることを知っていたのでしょうか?
▼こちらの記事では「攻め」「タメ」から打突にスムーズに入るための「一拍子の打突」を紹介しています。
「攻め」が効いた状態では、相手は自分の思い通りに動く
上記のように、手前の子は「お相手が前に出てくることを知っていた」のですが、なぜ知っていたかというと、
攻めによって、「お相手が前に出て来ざるを得ないようにしていたから」です。
自分がそのようにお相手を追い込んでいるわけで、この状態に持っていくのが「攻め」です。
人に尖ったものを喉元にピタリと当てられ、ぐいぐい圧迫されると、人間はめっちゃ嫌な気持ちになります。
怖いしそわそわするし、いらいらするので、どうしてもそのままで我慢できず、打ちたくなってきたり、竹刀を傾けて間合いを詰めたりしたくなります。
そのように持っていくのが「剣先による攻め」と呼ばれるものです。
先の動画で言うと、手前の子は竹刀を構えて相手を圧迫し、どうにもこうにもその剣先が動かないので、お相手はいらいらして、打ちたくてたまらなくなってきます。
その打ちたくてたまらない時間帯に、手前の子はふっと動きを止め、「今打ってきていいよ~」と一瞬の時間を与えてあげています。
緊張に耐えられなくなったお相手は、ようやく緊張から解放される!というように前に出ててきて、一本を頂戴する、という流れです
最初から最後まで、手前の子のシナリオ通りに試合が動き、一本が生まれています。
審判は常に、このような流れのある一本を待っています。
▼こちらの記事では最も有効な技「出がしら」を捉えるための「技の起こり」を察知する方法を解説しています。
「攻め」で試合の流れを作り、「タメ」で仕留める
「攻め」→「タメ」に至るまでの流れがおわかりいただけたでしょうか?
この流れを作るには、まず継続的な「攻め」が必要です。
構えがしっかりしていて、ピタリと剣先が動かない、しかもそのような状態のままぐいぐい前に出て来られたら、攻められている側は落ち着かなくなってきます。
そう言う時間が長く続けば続くほど、ふっと時間を与えられたら「ともかく前に出て打ってみる」状態になってしまい、待ち構えられていることを知っていたとしてもついつい前に出てしまいます。
この一連の流れが作れるこどもは、小学生ではそうそういないかも知れません。
剣道はスピードや力、体格だけで決まるものでは無く、こういう「攻め」や「タメ」によっていかに相手を自分の思い通りに動かし、いかに自分の一本に協力してもらうか、が決め手になってきます。
特に、試合で選手の力が拮抗している場合は、この「攻め」→「タメ」という流れを作れる、つまり剣道の「理合い」を知っている子のほうが圧倒的に有利になります。
小学生の場合、たかだか三年~四年剣道をしているだけですから、稽古量もそんなに変わらないし、早さやスピードでそんなに差がついているはずはありません。
稽古プラスアルファとして、構えを崩さないことの効能や、攻め、タメについて、周囲の大人が良く理解し、わかりやすい言葉でこどもに伝えてあげることによって、少し初歩を脱した、グレードの高い剣道をさせてあげられるようになります。
こどもは大人が思っているよりずっとずっと理解力がありますので、ぜひこのようなことも教えてあげてください。
まとめ
小学生といえど、個人戦の決勝や準決勝レベルになると、力も拮抗してかなり高度な試合になってきます。
実力プラスアルファとして、「攻め」と「タメ」をぜひ教えてあげてください。
「じっと構えていたら、相手が嫌がって前に出てくるよ」
「前に出て来させてあげるために、ふっと動きを止めたらお相手が打ってきてくれるから、そこに合わせたらきれいに入るよ」
というふうに、できるだけわかりやすい言葉で根気強く教えてあげてみてください。
指導者のご子息ご令嬢が剣道が強くなるのもやはり、このような理合いを大人が理解して、こどもに伝える努力をされているからかも知れません。
皆様に少しでも楽しんでいただき、参考になる記事を(ほぼ)毎日更新しています。
イラストは自作のものと、プリ画像GMOから引用しました。

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